XR体験は、人と社会の関係をどのように変えるのでしょうか。
安寧社会共創イニシアチブ(AnCo)は2026年2月26日、大日本印刷株式会社(DNP)が開発したXR体験技術DNPコンテンツインタラクティブシステム「みどころウォーク」を題材に、その社会的な可能性を演劇的手法によって探るワークショップを開催しました。
演劇的手法については京都大学コミュニケーションデザインとDE&Iコンソーシアムの協力を得て実施しました。
株式会社わかさ生活様のご協力により、本社ビル2階「舞台STAGE」を会場として実施され、企業・団体・自治体関係者など14名が参加。少人数のグループに分かれ、体験と対話を通して技術の社会的価値を考える濃密なワークショップとなりました。
【写真①:「みどころウォーク」体験の様子】

XR体験「みどころウォーク」を体験
本イベントでは、DNPが開発したXR体験技術「みどころウォーク」を参加者全員が体験しました。文化施設などの空間で新しい鑑賞体験を生み出すこのシステムを実際に体験したうえで、参加者はこの技術が持つ「社会を変える潜在能力」に着目しました。
その体験をもとに、京都大学コミュニケーションデザインとDE&Iコンソーシアムの協力のもと、演劇的手法を用いて活用の可能性や社会への広がりを参加者自身が劇として表現しました。
【写真②:演劇ワークショップの様子】

演劇で描いた「技術が社会に広がる3つの未来」
今回のワークショップでは、「みどころウォーク」が社会に広がっていくプロセスをテーマに、参加者は3つの社会段階を設定して演劇を制作しました。設定されたのは、技術普及の段階を示す「イノベーター」「アーリーマジョリティ」「レガード」という三つのステージです。
① イノベーター段階
「みどころウォーク」というサービスが登場したばかりの社会を描いたこの段階では、XR体験による身体的な驚きや戸惑いがコミカルに表現されました。誰も知らない初めての経験を他者に伝える際、様々な誤解や誤読、誤配が生まれます。その偶然の出来事がきっかけとなり、家族の会話が生まれたり、高齢者の外出機会につながる場面が描かれました。
② アーリーアダプター段階
社会の約20%ほどが体験している状況を想定したこの段階では、「この体験をどう説明するか」がテーマとなりました。体験の意味を言語化する過程で、美術館体験だけでなく、企業研修や教育など異なる分野への応用の可能性も自然に議論されました。
③ レガード段階
「みどころウォーク」とその応用サービスが社会に広く定着した未来を描いたこの段階では、普及が進むことで、イノベーター段階で見られた新鮮な驚きや感動が薄れてしまうのではないかという問いも生まれました。
【写真③:グループディスカッション】

演劇的手法が可視化する「社会的インパクト」
演劇は、言葉だけではなく、演者同士の相互作用を通して感情や前提が自然に表現されるプロセスです。今回のワークショップでは、通常の議論では見えにくい価値や感情、関係性の変化が立体的に可視化されました。
今回の演劇を整理すると、体験は次のようなプロセスを通じて社会に広がることが示唆されます。
パトス(身体・感情) → ロゴス(言語化・共有) → エトス(社会的定着)
AnCoでは、こうした演劇的手法を通じて、社会を変える潜在能力を持つ技術や文化の体験を社会的インパクトとして見える化し、その構造を明らかにする取り組みを進めています。
【写真④:作品発表の様子】

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【主催】一般社団法人 安寧社会共創イニシアチブ(AnCo)
【企画協力】
大日本印刷株式会社(DNP)
(DNPコンテンツインタラクティブシステム「みどころウォーク」提供)
京都大学コミュニケーションデザインとDE&Iコンソーシアム
京都大学医学研究科社会的インパクト評価寄附講座