分科会後半では、3名の文化事業家によるお話をもとに(前編参照)、各文化活動がもたらす効果について、「人(個人)」、「場(活動の対象となる場)」、「社会(政策や規範への影響、コミュニティへの影響など)」の3つの視点から意見を出し合い、整理を行いました。
参加者からは、”生きる力がつく”、”ポジティブな体験が増える”、”鑑賞するだけでなく、作り上げり人にも効果がある”、”親の気分転換になる”など様々な意見が挙げられました。これらは、今後の実証事業において、どのような成果や変化を評価の指標にするべきかの参考になると考えています。
※ 実際に集まった意見は会員限定で公開しています。
近藤
アートや文化活動がもたらす様々な健康面へのメリットについては、イギリスのデイジー・ファンコート氏がWHOとまとめたレポートなどでも言及されています。本日さらに、アート体験が「つながりを生む」きっかけになり、社会関係資本(ソーシャルキャピタル)を高める効果があるという点は、今日の登壇者の皆さんからのコメントにも共通して見られました。
また、現在の健康の定義は「身体的・精神的・社会的に満たされた状態」とされていますが、以前は “実存的”、”spiritual(霊的)” という言葉もあり、「自分の存在を肯定できる状態」も含まれていました。今回のセッションでは、その“自分自身の存在に価値を感じる”というスピリチュアルな側面も出てきたと感じます。
こうした活動が、短期的・長期的にどのような効果を持つのかを整理し、効果を検証していけたらと考えています。そしてもう一つ、日本人としてのアイデンティティをしっかり持つことが、他の文化を深く理解し尊重するためにも必要だという視点も、あらためて大切にしていきたいと思います。
梶本
TSUMIKIプロジェクトに継続して参加している子どもたちの中には、自分の個性を表現しづらかったりする子が多くいます。また、親と相談しながらプロジェクトを進める子もいれば、本番までは自分で頑張って、あとで親と楽しそうに会話している子もいます。そのような親子が笑顔で関わっている姿を見ると、本当にうれしく思います。
矢島
一人ひとりがアートや美しいものに対する感性を高めていくことが、社会や日常をより美しくしていくと感じています。aeru schoolに参加した子どもたちを見ていると、
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