【レポート】第2回「京都の銭湯どうするんか会議」に協力参加しました

こんにちは。一般社団法人安寧社会共創イニシアチブ(AnCo)の小倉ちあきです。

2026年10月9日(金)の夜、京都市役所で「京都の銭湯どうするんか会議」の第2回会議が開かれました。燃料費の高騰や後継者不足、設備の老朽化によって、存続の岐路に立つ京都の銭湯。その未来を、銭湯関係者、大学、行政、そして利用者が立場を超えて語り合うこの会議の様子と、見えてきたことをご報告します。

「京都の銭湯どうするんか会議」とは

京都の銭湯は、健康維持や防災、地域交流の拠点として大きな役割を担ってきました。災害時には、生活用水の提供や入浴支援の場としても注目されています。一方で、燃料費や人件費の上昇に加え、物価統制令によって入浴料金に制約があることから経営は厳しく、銭湯の数は減り続けています。

こうした危機感から立ち上がったのが、この会議です。銭湯関係者、大学、行政などが立場を超えて対話し、互いの知恵や技術を持ち寄りながら試行錯誤を繰り返す「共創型会議」として、科学的な効果検証も交えながら、持続可能な仕組みづくりを探っています。この会議はAnCo理事の近藤尚己先生(京都大学教授)のご提案で実現。7月に開かれた第1回では、銭湯経営の側から見た課題が共有され、銭湯が持つ大きな価値があらためて確認されました。

審議会が「開かれた場」として機能する、新しいかたち

当日は、京都市役所の会議室に約50名が集まりました。第1回が銭湯経営の視点からの課題共有だったのに対し、第2回ではユーザーとしての視点を取り入れるため、参加者の層を大きく広げ、幼稚園・保育園の関係者、学生、銭湯愛好家の皆さんも加わりました。

審議会とは、国や自治体などの行政機関が、重要事項や専門的な施策を決める際に、学識経験者、利害関係者、公募市民などの意見を聞くために設ける合議制の諮問機関のことです。どうしても堅い場を想像しがちですが、第2回は、審議会が「開かれた場」として機能するという新しいかたちになりました。傍聴席も設けて公開され、会場はカジュアルで熱気にあふれ、立場の異なる人同士が自由に意見を交わしました。

松井市長は会議後、多様な立場に立ってこの事業の意味が問いかけられ、これまでの役所の審議会や検討会の常識を超えた熟議が行われたと振り返っています。近藤先生は、これを健康影響評価による「政策過程の民主化」のプロセスだと位置づけます。誰も取り残さず、限られた予算をどこに使うかをみんなで考え、相談し、折り合いをつけていく。その過程を、参加者全員で体験する場になりました。

第2回のテーマ:「利用者の視点」と子ども銭湯応援事業の効果

第2回の柱は2つありました。ひとつは、第1回で洗い出された課題を深掘りし、主に利用者の視点から京都の銭湯の価値と課題を考えること。もうひとつは、現在実施中の「子ども銭湯応援事業」の効果を、健康影響評価(HIA)の手法で検討することです。HIA(健康影響評価)は、ある政策や事業が人々の健康や暮らしにどのような影響を及ぼすかを、さまざまな立場から予測・評価する手法です。会議ではこの手法を使い、グループワークを通じて「どんな影響があるのか」を楽しく、かつ科学的に検討しました。

子ども銭湯応援事業は、京都府公衆浴場業生活衛生同業組合、京都府、京都市が連携して実施する事業です。「子ども入浴料金無料化事業」。2026年4月1日から2027年3月31日までの1年間(予算の都合で期間を短縮する可能性あり)、京都府内の組合加盟84か所(うち京都市内77か所)の銭湯で、18歳以上の大人が同伴する小学生以下の子どもの入浴料金が無料になるという制度です。

HIAワークショップ:3つの立場になって考える

当日のワークショップでは、参加者が8つのチームに分かれて進みました。話題の主語は、京都市が実施している子ども銭湯応援事業です。各チームは、利用するこども、同伴する大人、制度を利用しない(できない)人という3つの立場の気持ちになって、この事業が誰にどんな影響を与えるのかを考えました。銭湯ファンとそうでない人、こども無料化の恩恵を受ける人と受けられない人。立場が変わると、見える景色も変わります。

議論の成果は、次のテンプレートに当てはめて発表しました。

「誰に」に対する「どんな」影響を調べたい。なぜなら「理由」のため、新しい発見がありそう。

調べたい論点を「誰に」「どんな」「なぜ」の3点で言葉にすることで、チームごとの問いが整理され、次の調査につながる形に仕上がっていきました。銭湯をよく利用する人もそうでない人も、こども無料化の恩恵を受ける人も受けられない人も、同じテーブルを囲みながら多角的な意見が飛び交い、まさに「湯気が出る」ほどの熱気でした。

松井市長は会議後、多様な立場に立ってこの事業の意味が問いかけられ、これまでの役所の審議会や検討会の常識を超えた熟議が行われたと振り返っています。

今後の予定

この後は、実際のデータ収集と分析を行い、年内には結果を共有する予定です。次回は12月に開催され、チームから出た意見が実際に実行される予定です。日程の詳細が決まりましたら、あらためてお知らせします。どのような合意形成がなされるのか、次回も楽しみにしています!

参考リンク

開催概要

  • 名称:「京都の銭湯どうするんか会議」第2回会議
  • 日時:2026年10月9日(金) 18:30〜20:30
  • 会場:京都市役所 本庁舎1階 第1・第2・第3会議室
  • 主催:京都市保健福祉局 医療衛生推進室 医療衛生企画課
  • 協力:一般社団法人 安寧社会共創イニシアチブ(AnCo)
  • 出席者:松井孝治 京都市長、近藤尚己氏(京都大学大学院医学研究科社会疫学分野教授、AnCo理事)、吉本誠氏(京都府公衆浴場業生活衛生同業組合 理事長)ほか
  • 全体ファシリテーター:前田展広氏(株式会社よい根 代表取締役)
  • 参加者:約50名